【本】『NOVA+ バベル』大森望(編)

現代日本の第一線SFにいる人達の作品を集めたアンソロジー。
円城塔、月村了衛、酉島伝法、野崎まど、長谷敏司、藤井太洋、宮内悠介、宮部みゆきなど。

短篇集、特にいろんな人の作品が集められたアンソロジーは、短編ごとにいったん作ったリズムをまたイチから作り直しながら読むので、覚悟がいる。時間がかかる。
読書会のため、何日かかけて読了。

これがいまの日本SFなのか……
(あるいはそれを象徴するいくつかの方向性なのか)

小学校のときにジュブナイルSFを読み始め、中学高校時代は筒井康隆全集から世界SF全集とどっぷりSF漬け、しかし大学に入るとSFから少し離れサブカルを読み出し、数年前からまた本格的にSFを読みなおし始めたそんな僕のSFに対するスタンス。
このアンソロジーを読んで自分がSFが好きなのかどうかよくわからなくなってきた。

興味深い作品もポツポツあるが、全体を通してツボでない。
自分がドンピシャで好きなのはSFでなく、SFと隣接する何かなのだろうか。
幻想に通じる叙情的かつノスタルジックな光景、
破壊的なまでグロテスクな描写、
ギャグ漫画に通じるアクロバティックな発想……
そういういくつかのツボにかすっているものは面白く感じるが、現在の日本SFを象徴するような作品はあまり好きでないようだ。
逆説的に言えば、そんな僕でも興味を引くツボがそれなりにあるということが現在の日本SFの多様性なのだろう。