【本】『一角獣・多角獣』シオドア・スタージョン

あまりSFでない、幻想的な短編集。
飲み込みやすい内容とは決して言えず、同じ著者の『夢みる宝石』の叙情的な雰囲気に比べると、意地悪で容赦無い。

僕の感覚では使い古されている、あまり新鮮でない展開もあったりする。
(少し経年劣化をしているかもしれない)
それでもフェティッシュに好きな短編がいくつかある。

個人的にはこの二編が気に入った。

「熊人形」
夢と現実が夢を媒介して行き来する。

「めぐりあい」
『胡蝶の夢』あるいは『世界が終わってしまったあとの世界で』の変奏曲のような。

ただし「めぐりあい」は『海を失った男』版の新訳「シジジイじゃない」のほうがわかりやすい。
こちらの『一角獣・多角獣』版はやや説明不足。