(再読)
メモ:
第1章 夢研究の誕生―何でもありの時代
第2章 フロイトはまちがっている?―脳幹の役割
第3章 夢はどこから生まれるのか―「自然の実験」からわかること
第4章 夢の機能―生存のためのリハーサル
ユングによれば、私達が見る最も重要な夢は「集団的無意識」から生み出される。
遠い祖先から受け継がれてきた人類の経験的な記録。
人間の胎児に見られる尾骨の名残のように身体には進化の歴史を物語る形跡がある。
心も「それを内包するからだがそうであるように歴史をもつ」
夢だけでなく歴史を通じて神話やお伽話宗教的な儀式に見られる
フォウクスの実験
九歳から一一歳になるまでは、夢の内容も見る頻度も大人のレベルに達しないことがわかった。
九歳未満の子供がレム睡眠中に起こされて夢を思い出せる確率は三〇%余りに過ぎない。
九歳という節目を過ぎると大人と同じ八〇%前後になる。
子供たちが話す夢の内容が大人と異なっていた。
五歳未満の子供の夢は短い平板なイメージで構成され、動物がよく登場する。
夢をよく見る子供は色つきのパターンの積み木で同じ物を作らせると点数が高い
視覚、空間認識のテストで高い点数を出した
視覚的なイメージ作りは徐々に発達する能力であり、夢を見るための重要な前提条件になる。
自分自身が夢のなかに登場するのは七歳以降
それまでは子供には自分という認識がない。
前頭葉にダメージ↓夢を見ない
前脳基底部核に損傷を受けると起きていても夢を見る
夢の中で 扁桃体が刺激される
「闘うか逃げるか」
前頭葉皮質だけが取り残される。
論理や理性を司る。
現実と妄想をチェックする機能が働かない。
外界の視覚情報を最初に受け取る覚醒時よりも一次視覚野は活発になる。
長期記憶の処置中枢は活発に動いているのに、現在の体験を記憶するのに必要な領域は活発ではない。
(実際には刻まれているが、思い出すきっかけがないだけ)
夢は意識下の底にある願望から生まれる(フロイト)
視覚連合野
夢を見ているときは視覚空間系の脳が活発化
↔違い
統合失調症は、聴覚言語系が活性化
長期記憶の領域は普段より活性化
短期記憶の領域は寝ている
感情の部分が活性化
大脳辺縁系(長期記憶の領域)
神経生理学
↔
心理学
実は性的な夢が出てくる割合は一割にしか過ぎない
最も頻繁に見るのは追いかけられている夢
子供たちは空想の中では自分が主人公だが
空想の中ではなりたい自分
夢の中では本当の自分
脳は覚醒時以上にエネルギーを使い、身体は麻痺
全く無防備
夢は生き残るためのリハーサル
日々の体験で得た情報が統合され反復学習
仮想現実
虎もネコも夢を見る
夢と現実を区別するように
短期記憶を残さない
夢は覚えておくものとして作られていない
比較的新しいことなので読む書く計算する夢を見る事はほぼない
●第5章 夢と記憶―体験を整理する
記憶をするとまず海馬に取り込まれる。
隣接する扁桃体は経験次の感情的な反応
一旦保留されてから新皮質に移動していく。
手続き記憶と宣言的(陳述)記憶の二種類。
宣言的(陳述)記憶は意味記憶とエピソード記憶
脳はインターネットの閲覧ソフトのような役割。
夢はエピソード記憶のアクセスが絶たれた状態で観る。
ゆるやかに夢の中に吸収されていく。
夢の中の日中の残滓は半分に満たない。
「夢のタイムラグ効果」…特に女性によく見られる
PTSD
三日後がピーク、次のピークは一〇日後。
海馬がその情報を処理して新皮質に配信するまでの時間
海馬はメモリの役割
新皮質がハードディスク
もともとは生存に必要なスキルのリハーサルだったが、人間はさらに上の複雑な層が重なる
●第6章 夢は心を癒す―自分でできる精神分析
感情を整理する脳の役割
感情的にバランスのとれた人が気持の良い日を過ごしたとき六〇対四〇
深刻な悩みを抱えている人は九五対五
ネガティブな感情のほうが多い
夜のうちにそういう感情を処理しておくため?
最初のレム睡眠で見る夢が最もネガティブ
二回目、三回目と回数を重ねるごとに
よりポジティブになっていく。
より古いイメージが混ざり合った複雑なものになっていく
※ただしうつ病の夢のパターンはこれと大きく異なる
●第7章 左脳の解説者―脳が紡ぎだすストーリー
脳は全くデタラメなイメージからストーリーを紡ぎ出す
右半球 幾何学的な図形や空間認識
左半球 言語能力、文章、計算
右で世界を認識、左でそれを分析、問題を解決。
睡眠中、脳の不完全なイメージから推測したものが夢
あうれでてくるイメージから即興的に作られたものが夢
睡眠中に生理的な変化で脳の作業ルールが変わるため
妄想じみた夢が生じるレム睡眠中は、神経伝達物質ノルエピネフリンの分泌が大幅に低下
(ノルエピネフリン…ニューロンが同時発火したときにノイズを締め出し、奥亭の信号に的を絞る皮質の能力を高める)
背景が変わるだけでなく、登場人物も変わる
しかし人が物になったりその逆のパターンは報告されていない
↓人と物を扱うのは別の領域
言語能力や記憶力に問題がなくても空間認識のテストが著しく低いと夢を見ない
●第9章 明晰夢の世界―自分の夢をコントロールする
明晰夢とは、レム睡眠期に入り脳の生理的な状態が変わっても、強い意志が働いているために意識が保たれている状態。
夢を見ているときは普通「私は夢を見ている」という自覚がない。
明晰夢では何らかの作用で自己意識が生まれる。
筋書きや設定の意外なひねりで夢の呪文が解け、明晰夢に入る。
きっかけ 何年も前に死んだ人との再会、あまりにも奇妙な風景に「これは現実だろうか?」と疑問を持つ
明晰夢を見ているとき、眼球の動きを操ることができる
眼球を特定のパターンで左右に動かせば、レム睡眠中に無意識に起きる眼球運動とはっきり区別できるはず
半数、ある調査では八割が明晰夢を見たことがあると答えている。
一ヶ月に一度以上見る人は一割から二割
明晰夢を見るのはほとんどレム睡眠中、睡眠時間の後半、明け方から朝にかけて見る確率が高い
朝に近づくにつれ体内時計にあわせて体温が上昇、あらゆる睡眠段階で脳の動きが活発になる
睡眠時間の後半はレム睡眠の時間が長くなる。
明晰夢でなくとも鮮やかな夢を見やすくなる。
明晰夢を見るためには自己意識が生じるよう皮質が高度に活性化しなければならない。
(おそらく言語能力を司る左脳の側頭葉のスイッチが入る必要がある)
「これは夢だ」と認識しなければならないから。
明晰夢を見る人の二五%は夢を見ていることに気づくだけで操作できない
想像するより夢の中で行動する方が脳の動きが活発になる。
夢の中がリアルなのは
外から入ってくる情報がニューロンを刺激するのと同じような反応が脳内で起こる。
想像と現実を区別するために起きているときは神経伝達物質セロトニンが働く
レム睡眠中はセロトニンの低下
明晰夢を見るために
●普段よりも一〜二時間早く起き、三〇分から一時間起きてから二度寝すると確率が一五倍から二〇倍高まる。
●一日に少なくとも五〜六回「これは夢か現実か」確認する
(リアリティーテスト)
眠っているときも同じように自問する習慣をつける
●眠る前に「夢を見ているときに意識を保つぞ」と自分に言い聞かせる。
←
明晰夢を見る回数が五割増す
●夢を見ているとき確認すること
活字や時計を探して、それを見る。
(夢の中では活字はほぼ例外なく変化する)
夢が崩れそうになると意識を他に移す
くるくる回転する方法で夢が続く確率が二二倍