【本】★『歴史は「べき乗則」で動く―種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学』マーク・ブキャナン

火の鳥『未来編』で火の鳥が極小、極大の世界を主人公に見せる。極小の世界には我々とは概念が違うがまぎれもない生物が息づき、極大の世界では宇宙全体がひとつの銀河のように渦巻き、大小が変わるいくつかの段階で世界が繰り返されている。
このようにカオスと規則性が自己相似パターンを描くことをフラクタルという。

地震(物理現象)、山火事、大量絶滅、生態系などの自然現象だけでなく金融市場、科学、歴史などの社会現象までも同じパターン、フラクタルを見出すことができる。
そのフラクタルを砂山に例えてみると、砂粒を少しずつ落としていくと砂山が生まれ、潜在的な力を貯めこみ臨界状態に入りながら成長していく。
いつか土砂崩れが起こるいうことはわかるがいつ起こるかわからない状態になる。
(土砂崩れは大きいほど稀になる)

これらのフラクタルで共通する物理法則を「べき(冪)乗則」と呼ぶ。
一四五九年から一九七五年までのヨーロッパの戦争を調べると死者数が二倍になるたびに戦争の頻度は約二・六二分の一に、いっぽう同じように森林発火と山火事の頻度を調べてみると二・五から二・八。
その数値は驚くほど近い。