五時起床。
外は曇りで天気予報によると雨が降るとのこと、ジョギングに出ず外の様子を見ているとなかなか雨が降らない。
九時を過ぎても微妙な天気、いっそ降り出す前に外に走りに出ようかと思ったら、そのタイミングで雨が降ってくる。
午前中、家にこもって漫画企画とネーム。
昼過ぎ、冷たい雨の中を外出。
一五時三〇分より日比谷の試写会で映画鑑賞。
『ちはやふる』
一七時半会場を出て一八時に帰宅。
夜、漫画のネーム続き。
二三時就寝。
絵と説明を手描きで連続させた、コマ割りすらない(だから厳密な意味では漫画ではない)ゆるいスタイルのエッセイ漫画。
表現する人はみんなそれなりの自意識があって(特に僕はその傾向が強い)、その自意識と社会が衝突するところを面白おかしく描くことはできても、普通の話を普通に描くことに関しては難しかったりする。
しかしたかぎなおこ氏は、楽々とそのハードルを越え(ハードルの下をくぐり抜けているのかもしれない)、ゆるやかな日常を自然体で描いている。
だから個人の経験から一般化して、読者が自分に当てはめて想像することができる。
僕も読みながら、自分が上京したときのことに思いを馳せていた。
たかぎなおこ氏が寿司工場でバイトしたように、僕はアシスタントしたり、ビルの管理人をしたり……成功すれば経験の力になりいい思い出へと変わるけれども、そのときはそんなことを想像できなくて未来が見えなくてつらくてひたすら不安だった。
そしてまだそれが現在進行形で続くとは思わなかった。
ガイドブック的な要素もある本だけれども、旅先の情報以上に、訪れたたかぎなおこ氏のリアクションが、いい。
僕は二〇年以上シーズンごと一人旅を続けているが、いまだ見知らぬ土地でこみ上げる不安感は消えない。
むしろその不安感が旅の中で重要だったりする。
旅の楽しさである冒険心とか郷愁は、不安感に付随するものではないか。
逆に不安感がないということはその場所のことを把握しているからで、わかっているところを歩いても答え合わせでしかない。
僕が思うに、誰かと一緒に旅行すると旅特有の感情の純度が下がる。
それはそれで違う楽しみも生じるけれど、誰かと一緒なら知っている場所を歩いたり話したりするだけで、僕は楽しい。
……などと自分語りのスイッチを押させてくれるのが、たかぎなおこ氏の漫画のよさ。