月別アーカイブ: 2015年1月

【本】『エスケヱプ・スピヰド(3)』九岡望

三時間半かけて読了。
この厚さぐらいのラノベ(三五〇ページ前後)なら一〜二時間で読みきることができるのに、通常の倍以上かかってしまう。

時間がかかった理由は、難解さのためでなくアクション描写が多いため。
その描写は下手ではなくむしろ非常に達者なのだが、これはもう小説という媒体の問題。
漫画や映画なら映像を観てダイレクトに理解できるのだが、小説の場合は文章を読んでからいったん頭のなかで映像にしなければならないのでそのぶんだけ時間がかかる。
ここまでよくできていると、逆に文章で読む不自由さというか絵がないことに物足りなさを感じる。

媒体がラノベというだけで、少年漫画の基本を完璧に踏襲している。
キャラクターは相変わらず類型的(ベタ)だが、ベタもここまで極めれば芸。

【映画】『ブレーキ・ダウン』

数年前に鑑賞したのだけれども、ラスト以外一切覚えていなかった。
観ると徐々に思い出していき、中盤から完全に記憶が蘇ってきた。
リチャード・マシスン原作の映画『恐怖のレストラン』の失踪モノパターンの別回答を提示したものだ、ということは覚えていたのだが、どういうタイプの答だったのか完全に忘れていた……ことを思い出した。

悪人の小市民的な日常が見えることが興味深い。
主人公に向けられている悪い面だけでなく悪人にも日常があるわけで、その二面性が興味深い。
ただのサスペンス映画でない、奥行きが生まれている。

前回観たときも楽しめたが、今回さらに楽しむことができた。

 15年01月28日

【日記】15年01月29日 体重59.8kg

五時起床。

八時二二分より公園を二八分ジョギング。
相変わらず寒いけれども、ジョギングを始める前に比べると寒さに慣れてきた。
Popol Vuhのアルバム「Future Sound Experience」を聴きながら走る。
昨日ピンとこなかったので今日も引き続き聴いている。
スピリチュアルな雰囲気がどうも受けつけない。

今日は特筆するようなことは特に何もなし。
二三時就寝。

この日ほか記事一覧


【本:漫画】『羊の木(全5)』山上たつひこ(作) いがらしみきお(画)

僕は山上たつひこ氏のドンピシャ世代ではない。
ちょっと後の鴨川つばめ『マカロニほうれん荘』が小学生時代一番はまったギャグ漫画なのだが、それさえ僕が読んでいた頃は連載が終わって数年が経っていた。
リアルタイムに読んでいた頃の山上たつひこ氏作品で僕が一番好きだったのは『ええじゃない課』。
高校以降は『喜劇新思想体系』『鉄筋トミー』『金瓶梅』などをつまみ食いするように読んでいた。
そんな二〇年ぶりの山上たつひこ氏の漫画。
(いがらしみきお氏は去年『ぼのぼの』と『I【アイ】』を読んだ)

登場人物が多いけれども混乱しないように工夫がされていて非常に読みやすい。
とある地方都市に元犯罪者たちが集まる。
その街で連続殺人が起こる。
過去と現実の軋轢から、貴志祐介氏の『悪の教典』『クリムゾンの迷宮』のような心理的なサスペンスに向かうかと思っていたらそうでもない。
謎解き的な展開はそれほど重要じゃないようで、いくつか謎を残したまま一応の終わり。
一筋縄でいかないのが山上たつひこ氏らしい。

【本:漫画】『機械仕掛けの愛(1~2)』業田良家

業田良家氏は高校ぐらいから青年誌の四コマを読んでそれなりに追いかけてきたつもり。
ギャグともシリアスともとれない混じりあった作風だったが、最近は分離する傾向にあるようだ。

『機械仕掛けの愛』は同作者のシリアス志向の方向性である『空気人形』の延長線上にある。
寓話的だったリアリティラインがSF寄りになっている。
アイザック・アシモフ『われはロボット』が、二一世紀になって日本人のギャグ漫画家の手によってリブート(再起動)されるのを見る……不思議な気分。
フレドリック・ブラウン氏や藤子・F・不二雄氏を彷彿とさせるストレートなショートショート。

15年01月28日先日読んだ『ショートショートの世界』で絶滅寸前だったショートショートが、ここによみがえっていた!

個人的には『家族増員法』『罪と罰の匣』が好き。

【映画】『コン・エアー』

公開当時に観たときは典型的なハリウッド映画っぽく思っていた。
しかし去年、マイケル・ベイ監督映画を『バッドボーイズ 』から始まり『トランスフォーマー/ロストエイジ 』まで通して観たところ、単にハリウッド映画っぽいだけでない個性のようなものが見えてきた。

確かに一見、典型的なハリウッド映画っぽい印象を受ける。
それはベイ監督が映画の見映えに「っぽさ」を強調しているためなのだが、作品の中に常軌を逸したその「っぽさ」をぶちこむため、最終的には「っぽさ」が過剰にあふれ過ぎた別の何かになっている。
それはハリウッド映画のパロディのような、メタ化した似て非なるものだ。

そういうものが単に受けると思っている、ということもあるだろう。
しかし日本でビデオスルーされたベイ監督映画『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』を観ていると、そういうものが受ける状況の無意味さを笑うような高度な批評性も見え隠れする。
類型的なエピソードや演出を重ねることによってハリウッド映画の空疎さを強調している……にしては嬉々としてこういうものを作っているきらいもある。
ダイナミックな破壊シーンを作ることにもフェティッシュな関心があるのだろう。

『コン・エアー』のラストの盛り方と言ったら……一つ一つのエピソードはハリウッド映画の典型なのだけれども、それが集合するとここまで奇妙なものになるのか。
世間で思われているハリウッド映画「っぽさ」について考えさせてくれる。
(しかしベイ監督がただ単に天然で盛った映画を作る人という推測も捨てきれない)

意図を推し量ることはできない、強い個性の監督。

【食】15年01月29日

朝食:煮玉子トマト冷やしラーメン、メンマ、豚角煮、トマトと豚肉とキノコと玉ネギとキノコの甘辛煮のせサラダ菜のサラダ。
2015-01-29_053038.jpg

昼食:マッシュルーム入りハヤシライス、サツマイモ、ソーセージのせツナとトマトとほうれん草のサラダ、ルッコたと生ハムのサラダ、メンマ。
2015-01-29_121603.jpg

夕食:豆乳にフルーツグラノーラ。
2015-01-29_182630.jpg

【日記】15年01月30日 体重60.1kg

五時起床。
カーテンを開けて外を見ると、激しく雪が降っている。
窓ガラスを隔てた向こう側の硬質な冷気が突き刺すように侵入する。
暖房を入れても追いつかない。

夕方から外出。
相変わらず曇り空だが降雪は一段落、すでに溶け始めている。
クロッキー会で知り合ったS君と豊島園駅前で待ち合わせ。
マクドで外食してから、二一時四五分よりユナイテッド・シネマとしまえんで映画鑑賞。
二人で感想を言いながら歩き、練馬駅から地下鉄に乗って帰宅。

二三時半就寝。
 

この日ほか記事一覧


【本:漫画】『三文未来の家庭訪問』庄司創

面白そうなタイトルと表紙の絵に惹かれて手に取ってみる。
冒頭から興味深そうな設定と物語、引きこまれて読んでいると途中から頭に入りづらくなってくる。
あれ、面白かったのに……後半に近づくにつれどんどん観念的になって、僕の中で一般化できない事象が増えてくる。
ある領域から先は完全に感情移入できない領域に入ってしまう。
作者の責任でなく、こういう現在から生まれるものを理解できない僕が悪いのだ。

最近、自分が好きだったSF小説も漫画も意味がわからないものが増えてきた。
学生時代あれだけ熱心に読んでいて、特に好き嫌いもなくどの作家の作品も読んできたのに。
好きなSFから、漫画から心が遠ざかっていく。
年齢のせい? 
勉強不足? 
それともひとつのジャンルが恐ろしく多様化したから??

それにしても真夏の沖縄の海に飛び込んだら、いつのまにか氷山の浮かぶ北海に浮かんでいたような気持ちだ。

【本:漫画】『キヌ六(全2)』野村亮馬

ネットで紹介記事を読んで面白そうだったので読んでみる。
僕が好きそうな絵と設定だったのだが、読んでみたら実際その通りだった。

設定やテンポは少年漫画的なのに、それ以外の要素があまり一般的でない。
バトルでどんどん身体が崩れていく。
容赦のないアクション描写、肉体感感覚の徹底的な希薄さ。
絵のダークさ未成熟さを含め、そのアンバランスさがまぎれもない個性。

自分の好きなことを漫画にしているように見える。
この自由さがうらやましい。

【本:漫画】『土星マンション(1~3)』岩岡ヒサエ

宇宙エレベーターに興味があったので、それに隣接する設定の物語らしいこの本を手に入れて読んでみる。
ところが何と……冒頭の扉絵で見せている土星のリング状に地球の周囲に浮かぶ都市……というところ以外はセンス・オブ・ワンダーが一切なかった!

人情話として一筋縄でいかず素直に着地しないところが、今っぽい。

【映画】『ベイマックス』:ユナイテッド・シネマとしまえんで鑑賞

去年末、NHKのドキュメンタリー観たベイマックス』のメイキングを確認するという意味で鑑賞。
たしかによく出来ている。
細かい部分を観れば観るほどよく出来ている。

しかしこれは感覚の違いなのかもしれないが、エピソードの塊が大きくなるほど矛盾点や物足りない部分が見えてくる。
ブラシアップは全体から細部に向かって行われるわけで、その逆になればなるほどチェックは甘くなる。
大きなマスの修正は小回りがきかなくなる。
(細部を進行しているたくさんのクリエーターに影響が及ぶから)
さらに原作のレベルまで戻ると、主人公と主人公をサポートするヒーローキャラたちが活躍するぶんキャラクター全体の掘り下げが浅くなっている。
爆発事件と教授の行動の因果関係は微妙だし、悪い企業のトップは悪さも中途半端なうえそれ以外の面もなく何の感情移入もできない。
一人の作家が作っているわけでないので、論理が一貫しない。
整合性が最大公約数的なのものになっていく。

もっと完璧に近い作品を観ると思っていたが、圧倒的な部分とそうでない部分があって、僕は思ったよりも圧倒されなかった。
それでもこのレベルのものを量産できるシステムを作り上げたことはすごい。
多くの人々が作品作りに協力する姿に、民主主義の最終形態である(理想としての)共産主義を見た!
逆に、あきらかに共産主義思想の影響をうけているであろう日本のアニメ監督が独裁で作っていることの不思議……

【食】15年01月30日

朝食:ソーセージ、お握り、シソとサーモンとトマトとサラダ菜のサラダ。
2015-01-30_093620.jpg

昼食:キュウリのぬか漬け、ハッシュドポテト、ご飯、鶏モモ唐揚げ、ソーセージとトマトとサラダ菜のサラダ。。
2015-01-30_130427.jpg

豊島園駅前のマクドにて夕食:ダブルバーガーセット、ハンバーガー。
2015-01-30_180042.jpg

【日記】15年01月31日 体重60.9kg

五時起床。
眠気に耐えられなくなって朝食後に少しだけ仮眠する……つもりが机にうつ伏したままガッツリ眠ってしまう。

午後、コンビニに宅急便を送りに行ったついでに図書館に寄って本の返却貸出。
さらに駅前のショッピングモールで買物。
雪がまだ地面に残っていて、外気に寒さというより冷たさを感じる。

今日はなんだかんだで一日中、資料整理に終始してしまった。
二二時半就寝。

この日ほか記事一覧


【本】『おもひでぽろぽろ』 岡本蛍(作) 刀根夕子(画)

最近アニメ監督の高畑勲氏に興味が出てきて、『おもいでぽろぽろ』の原作をどんな風にアレンジしているのか確認するために読んでみる。
映画では一七年前の自分を振り返っていてそれがノスタルジックな雰囲気に満ちていたのだが、それからさらに二〇年以上経過!
僕が原作映画を観たのは学生時代(一九九一年前後)。
原作で描かれていた一九六六年の世界からはもう五〇年!

不思議なのは自分にとって二〇年前がさほど昔に感じないことだ。
でも、九一年の学生時代から二〇年前は僕が生まれた頃で、すごく昔だったように思える。
自分が過ごしてきたから、二〇年が連続性を持っているからだろう。
だってよく考えてみると、一九九一年はネットもない、携帯電話も普及していない、『ドラゴンボール』でセルと戦っている頃、手塚治虫氏が二年前に死んだばかり。
いま二〇歳前後の人からすれば、大昔だ。

本書を読んでいて思春期の頃の甘酸っぱい香りに浸っている。
こんな感情ずっと忘れていた……と思いながらもところどころに強い既視感がある。
忘却していた映画の記憶が原作を読むことによってよみがえり、自分の体験と混然となっている。

そういえば僕も三〇前後の頃、自分が高校時代の体験談漫画『性的人間』を描いていた。
この作者と同じだ。
そういうものなのかもしれない。

そういえば単行本に収録されなかったが僕の描いた漫画『性的人間』には『おもいでぽろぽろ』というタイトルの話があった。

【本:漫画】『ゆゆ式 (1~2)』三上小又

学生時代はよく四コマ読んでいたものだが、上京して漫画を描くようになってあまり読まなくなった。
そういえば『あずまんが大王』の明確なオチのない四コマに驚いたものだが、その『あずまんが大王』すらもう一五年前。
『ゆゆ式』は『あずまんが大王』にかろうじて残っていた起承転結が消えて、四コマというフォーマットがコマ割なだけで途切れがないただのリズムになっている!
ずいぶん四コマも遠いところにきたのだな……自分が知らないあいだ過ぎた時間に思いを馳せる。

【本:漫画】『さくらの園 (1)』ふみふみこ

ウェブで試し読みしたら思いのほか面白かったので一巻を手に入れてみる。

絵がいかにもデジタルで描かれたという感じで決して丁寧ではない。
しかしこの描き飛ばし感が、読み進めるうえで不利に働かない。
紙で描いた絵はそれなりの重さがあって、逆にそれが読み応えにつながるのだが、この漫画にはそれがない。
ひっかからないのだ。
構図の視線誘導に優れ、一枚一枚の絵でなく全体で見ることができる。

紙で読むと若干の違和感があるが、ディスプレイ上の読みやすさに優れている、新世代の漫画の描き方。

キャラ絵の萌ポイントもちゃんとおさえられている。
逆に言うと、他の部分は極力排除されている。
絵とストーリーが比例していて、物語もキャクターの周辺以外はほぼ描かれることがない。
ポイントを絞ることによって象徴的な効果を上げているのだ。
思春期ならではの心の動き……不安定さ、周囲の見えなさ、好奇心などが、SF的設定とシンクロして稀有な作品に昇華されている。

続刊が待ち遠しい。

【本:漫画】『もっと!  スリム美人の生活習慣を真似したら リバウンドしないでさらに5キロ痩せました』 わたなべぽん

半年前に前作を読んだ。
そのときは人生何度目かのデブピークからの本格的なダイエット一年半目だった。
そのおかげかどうかわからないけれども、その後五キロ落とすことに成功した。
(年末年始にモチを浴びるように飲んだのでまたリバウンドしてしまったが……)

絵がすごく達者。
この手のエッセイ漫画描いている人の中では一番達者。

巷では様々なダイエット法があふれているが、ダイエットなんてあきらかに間違っていることをやらないかぎりどんな方法であってもある程度は成功するもの。
問題はそのダイエットを続けられるかどうかだ。
太っている人はそんな生活を続けているから太っているので、ダイエットで体重を落としても元の生活に戻れば体重はまた元通りになる。
ダイエットは一生は続く。
それをダイエットと考えるから辛いので、スリム美人を目指す生活をしましょう、というのが本書。
スリム美人というの象徴を作ることによってダイエットを中心とした生活のレベルを引き上げる……
どういうダイエット法をやるかということに焦点をおいていない、まさにメタなダイエット論。

ダイエットに対してスリム美人を持ってくるコンセプトで成功した本だが、これは他のことでも成り立つのだ。
勉強や、仕事や、趣味……それぞれのスリム美人に該当する何かを見つけて、自分にないところ、その相手にあるところを比較すればいいのだ。
その実例をその観察できることこそわたなべ氏のスキルだけれども。

【映画】『ポルターガイスト』

僕は子供の頃からスピルバーグ映画にあまり食指を動かされなかった。
子供が観るものというイメージ印象が強かったのだ(自分は子供のくせに)。
あまりにも物語が寓話的すぎて、リアリティを感じることが出来なかった。
最近やっと、そういう象徴的な物語の作り方として捉えることができるようになった。

『ポルターガイスト』はそんな自分が思っていた典型的なスピルバーグ映画だった。
まだ実際にありそうで怖かったのは、冒頭の、少女がテレビと会話するシーンだけ。
もうそれ以降は出来事が飛躍して物語世界に入り込むことができなかった。
椅子が勝手に移動する現象を面白がって遊ぶってどういう世界観なのか。
もう少し、日常のリアリティにクッションをかませてくれたらわかりやすかったのに……論理の飛躍がある。

あまりにも作りものっぽくて感情移入できず、ずっと外から観ているだけ。
遊園地のお化け屋敷に入るのはアトラクションとして楽しいかもしれないけれども、それを撮影した映像を観ても仕方がない!

【食】15年01月31日

朝食:ハッシュドポテト、お握り、ソーセージと生ハムとトマトとレタスのサラダ。
2015-01-31_054737.jpg

昼食:ハッシュドポテト、ササミと玉葱のマリネ、ハヤシライス、シソと生ハムとソーセージとトマトとレタスのサラダ。
2015-01-31_121709.jpg

おやつ:ヨーグルト。
2015-01-31_1349.jpg

夕食:豆乳にフルーツグラノーラ。
2015-01-31_183238.jpg