こんな映画を観た!」カテゴリーアーカイブ

映画の見方がわからない人が感想を書いています。ばんばんネタバレしていきますよ〜!
フェイバリット映画は『遊星からの物体X』。
時々アニメやドラマやドキュメンタリーの感想も入ります。
(特に記載がない場合はDVDでの鑑賞です)
 
このカテゴリーの目次はこちら→こんな映画を観た!

【映画】『監獄ロック』

エルビス演じる主人公は刑務所で音楽を教わり、出所してからデビューして大ブレイク。
しかし自分の衝動を抑えることのできない彼は至るところでトラブルの種を撒き散らす……

物語自体は他愛のないもの。
人を殴ったらすぐに死ぬし、殴られたらすぐに声が出なくなる。
レコードを出したらすぐに売れっ子になるし、売れたらすぐに天狗になる。 

ところで僕は今作で初めて映像としてのエルビス・プレスリーをちゃんと観た。
すると今まで僕の中でエルビス・プレスリーとブルース・リーと区別がついていなかったことに気づく。
エルビス・ブルース・リーとかブルース・プレスリーとかとっさに答えてしまっても不思議でない。

それにしてもプレスリー、かっこよくないし、歌もうまいとも思えない。
ビートルズ以降のバンドならまだわかるが、プレスリーぐらいになると何が新しかったのか何が特別だったのか今から観てもわからない。

エビスビールの名称はエルビス・プレスリーが由来?

【映画】『フレンチ・コネクション2』

ハンバーガーを「肉をレアでケチャップ抜きで」と注文するアメリカの刑事に仰天。
ステーキならともかく、ミンチ肉を生の状態が残ったまま食べるってどんだけアングロ・サクソン系は血のしたたる肉好きやねん……

ラストのチェイス、主人公視点になり、手持ちのカメラで敵を追いかけ柵を乗り越えるところは手だけが映ったり、当時としては表現が斬新だったのだろうか……現在もこういう描写がそこまでありふれているわけではないので、新鮮。

主人公はじめフランスの刑事もマフィアも登場人物みんな「頭頂部薄くてモジャモジャ」の似たような髪型で区別がつきにくい。
刈り上げにしたりなどの工夫があったらもっとよかった。

【映画】『ハミングバード』

冒頭、長髪で現れたジェイソン・ステイサムが落ち武者みたいで不気味なのに、坊主にすると精悍な顔つきになる不思議。
僕もハゲたら潔く坊主にしようと強く思う。

抑えたトーンの前半、非日常を揺れながらギャングの世界に足を踏み込んでいく主人公の描き方が巧み。
不穏な空気が現れては消え、現れては消え、を繰り返しながら次第に振り幅が広くなり、悲劇的なラストを予感させる……

観終わった後で、監督、脚本が『イースタン・プロミス』の脚本家と知り納得。

ただ、『イースタン・プロミス』ほどのカタルシスはなかった。
もっとはっきりしたクライマックスがあれば「ええもん観た感」を出すことができたのに。

【映画】『あなたを抱きしめる日まで』

物語というものは出来事をどう切り取とるか、ということだが、ノンフィクションは実際にあった出来事を演出以上に逸脱できないから物語の演出の手腕が問われる。

演出で描いていいことの制限があるが、そのぶん涙という点においては事実の重さで簡単に担保される。
それが実話の強みであり弱みであり……特に考えさせられたのがクライマックスの老シスターと主人公のやりとり。

僕は涙が止まらなかったのだが、物語の核心部分だけに、ここがどのくらいの真実かということで映画に感情移入する度合いが変わってくる。
これはどの程度演出されている事実なのだろうか?

単にここに描かれていることだけを受け止めて泣いていいのか、と一方で冷静に考えている自分もいるのだ。

【映画】『柔道龍虎房』

かって柔道がめっぽう強かった男は場末の飲み屋でバンド演奏しながら盗みや博打で身を持ち崩していた。そこへミュージシャン志望の若い女がバンドに応募してきて……

駐車場で黒服が、延々と柔道の技の掛け合いしている絵はシュールを通り越して何か神秘的。
現実の香港を映しているにもかかわらずSFのような光景にうつるのは、ジョニー・トー監督のこうあるべきと思う一種のユートピアを映画の中で再現したからだろうか。

登場人物の行動がエキセントリック過ぎる。
終盤で主要人物の一人が知的障害者だということがわかるが、登場人物全員、常軌を逸した行動ばかりなので、その事実がわかった後でもやっぱり差がわからなかった。

【映画】『アナと雪の女王』

透き通った氷、荒れ狂う波、冷たそうな水など水に関する質感表現が素晴らしい。

姉が突然妹とコミュニケーションをしなくなる理屈がわからない。
妹に誤って魔法をかけてしまったトラウマ?
にしても妹はその記憶じたいがないのだからちゃんと説明しろよ……と思ったらやっぱりコミュニケーション齟齬からトラブルが始まる。

城をほっぽり出して「ありのままの私で〜♪」と歌わせる意味がわからない。

結局氷運びの青年は何の役にも立っていない。
スノーマンのほうが役に立っている。

愛が氷を溶かす理屈がロジックでなく、エモーショナルなものだった。   
キン肉マンがバッファローマンを倒した理屈と変わらない。

【映画】『ジャングル・ブック』

密林で動物に育てられた人間の少年モーグリ、人間嫌いのトラが帰ってくるので、みんなで故郷へかえしてあげようとするが……

あまりピンとこない。

ヘビが催眠術をかけたぐらいからものすごく眠くなってきてウトウト。
あと少しで僕もヘビに食べられてしまうところだった。

【映画】『リンカーンVSゾンビ』

ゾンビ殲滅作戦の陣頭指揮をとるため、リンカーン大統領はシークレットサービスを連れ南軍の砦に潜入する……

DVDに傷が入っているせいか、四〇分前後で映像が何度も行った来たりしてストーリーがなかなか進まない。

ゾンビが音に反応するという設定なのだが、ゆっくり行動するとゾンビの前を歩いてもでくのぼうみたいに突っ立ったまま気づかない。
そんなドン臭いゾンビなのに被害者が増えていく……その理由はまず、リンカーンの説明不足。

敵がゾンビであること、そのゾンビの倒し方を部下にも敵にもちゃんと説明しないから、パニックになった人々が無為に殺されていく。
ちゃんとリンカーンが説明を始めるのは物語が半分近く過ぎてから。

その後もシークレットサービスどおしで喧嘩したり、後ろに立っているゾンビに気づかなかったり、間抜け過ぎる理由で死んでいく。

ゾンビから逃げているうちに線路に上がり込み、機関車に追いかけられて走るシークレットサービスに向かって、
「横切れよ!」
と画面越しに叫んでしまう。
……轢かれて即死亡してしまったが。

DVDに傷がついていること関係なしに進まないストーリー。

【映画】『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』

さまざまな問題があって、老後をインドで過ごすことになったイギリス人達の交流を描く。

主要登場人物が多いけれども、キャラクターがちゃんと描き分けられているので、混乱しなかった。
印象は悪くない。
まったりとした展開だが、退屈はしない。
自分としては眠らずちゃんと展開を追うことができたというだけで、ポイント高し。

ただ、インドのきれいな部分を強調し過ぎるところは気になる。
もっと善意だけではどうしようもできないこともあって、混沌としているのではないか。

【映画】『ワールズ・エンド/酔っぱらいが世界を救う』

街の全てのパブの梯子酒を達成するため、二〇年ぶりに幼なじみが再会するが、久しぶりに訪れた故郷の街は何かがかってと違っていて……

登場人物の落ち着きぶり、あるいは老けぶりに、僕と同い年の男性はこう見えるのかと身につまされる。

僕と同時代の人たちが作って出演している映画なので、同じ時代を呼吸していた空気みたいなものがダイレクトに伝わってくる。
音楽の使い方、映像は申し分なく好み。

イギリス人らしい生真面目さと、悪ふざけがすぎる部分が混在していて、僕の中でおさまりが悪い。

同じ監督作『ホット・ファズ』も悪ノリしているところはあるが意外にまとまっているところがあって、もっと滅茶苦茶な映画を期待していたので少し肩すかしだった。

今回も同様にかゆい所に手が届かない、微妙にどっちつかずな印象。
(あくまで私見)

宇宙人の表現が新鮮。

【映画】『トカレフ』

娘を殺された元ギャングのポール(ニコラス・ケイジ)は、犯人探しに奔走する……

娘を殺されたことをきっかけに、精算せずに隠蔽しただけだった過去の自分が吹き出す。

過去の過ちから起因する恐怖(自分の思い込みによる犯人探し)から誤った方法(暴力を暴力で解決する)を繰り返す。
周囲の助言、忠告を聞かない。
関係のない人を巻き込んでいく。

その成長のなさ加減、自分勝手さ加減が、完全な成長をしなかった主人公を象徴している。

かけがえのない友人を失い、最後の最後に自分の過ちに気づくが、時すでに遅し。
最後に残った唯一の味方に別れを告げ、ポールはケジメをつけるため死地へ赴く。

因果応報だが、やるせない。

【映画】『夢と狂気の王国』

『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』の製作時期前後に作られたスタジオジブリのドキュメンタリー。

夢は夢だが、狂気というほど狂気でない。
天才のエゴに振り回される「職人/一般人」たちといったところ。

映画としての体をある程度意識しているぶん、NHKのドキュメンタリより情報量が少なく、感覚的。

宮﨑駿氏は仕事場で音楽を聞きながら喋りながら絵コンテを切っている。
(バッハ『ブランデンブルグ協奏曲』を確認)
仕事中もタバコ手放せない。
道でも歩きタバコ。

庵野秀明のアフレコに立ち会う宮﨑氏、感動して涙を流す。

いっぽう庵野秀明氏はクシャクシャの薄ピンク色のカッターシャツで登場する。

高畑勲は、渥美清と菅井きんを足して二で割ったようなルックス。

アニメーター「自分の大切なモノを守りたい人は宮﨑さんのそばにいないほうがいいです」
「上手かったらいいかというとそうでなく、上手いぶんだけ高い要求をされて傷つく」

庵野秀明氏「宮﨑さんは他人を下駄にする」
(他人を踏み台にするとの意)

ジブリの本棚に『マカロニほうれん荘』が並んでいたのが印象的。

【映画】『ザ・ムーン』

一九六九年〜七二年にかけて九つの宇宙船が月へ行った……宇宙飛行士へのインタビューと映像で作られたドキュメンタリー。

月面の映像はどれも色味がなく、地球の砂漠を白黒で撮影したかのようだ。
地球から持ち込まれたものだけかろうじて色が付いていて、それは映画『シンドラーのリスト』に登場する赤いコートの少女がごとく。
視覚的にあまり楽しくなく、「地球以外の地に初めて降り立った……」という歴史的な意味以上のものはない。

インタビューを観ていると、宇宙で神の存在を確認した人が少なくない。
(月に降り立って)人が作った宗教を超越した存在、万物の創造主の存在を感じた……とのこと。
人間が人間であるかぎり、たとえ太陽系から外へ出てはるか未来、銀河帝国の時代になったとしても宗教はなくならないのだろう。

【映画】『アポロ13』

実話を元にした映画。月へ向かう途中でアポロ13号本船が爆発事故、生還が危ぶまれる。しかしクルーと地上が連携して危機を乗り越え奇跡の生還を果たす……

何でこんなに面白くないのだろう。
宇宙船にあるものを集めて、二酸化炭素フィルタを作ったり、
船長がNASAの医者に干渉されることに腹を立て生理ベルトを外し、他のクルーも同調して外すところなど、
いかにもハリウッドっぽい展開でドラマとしては申し分なくツボをおさえているのに……いっこうに感情移入できない。

この映画の作り手独自の視点がわからなかったからだろうか、僕には既視感しか湧いてこず感動には到底至らなかった。

【映画】『アポロ18』

一九七四年クリスマス、密かにアメリカはアポロ18号を打ち上げ、月の極秘探査を行っていた……
NASAが隠蔽した事実を暴くというドキュメンタリーの体で始まるモキュメンタリー映画。
昔からジャンルとしてあったけれども、最近特にSF映画で多く観られる手法。
『エウロパ』『ダイナソー』『トロールハンター』『クロニクル』などなど。
『第9地区』もそうか。

昨夜鑑賞した『アポロ13』からのアポロつながり。
冒頭、ソ連の宇宙船と遭遇するまではよくできていると思う。
ネットに流出した低解像度の映像なので、低予算でも説得力のある映像を作ることができる。

ドキュメンタリーという体だから作りこんだラストだとフィクションっぽくなるからだろうか、この手の映画は事態が解決することがなく唐突に終わってしまうことが多い。
この映画もいかにもモキュメンタリーらしい放りっぱなしのラストだった。

しかしこれだけ手法のものが増えた昨今、それ自体がもはや手垢のついた展開。
これからはそれから先の何かがあることを期待したい。

【映画】『アルマゲドン』

昨夜鑑賞した『アポロ18』からの宇宙飛行士ものつながり。

学生時代、公開直後に映画館で鑑賞。
目まぐるしくシーンが移り変わって落ち着かない映画だなあと思いながら観ていた。
その後、いろんな映画をそれなりに観て、自分の感想がどう変わるか確認のため鑑賞。

たくさんの要素をやたら詰め込むくせに、個々のエピソードに有機的なつながりはない。

時間制限アクションを多数突っ込む。
・宇宙ステーションで給油中、給油装置のレバーが折れたことから大爆発寸前にシャトルに乗り込む。
・核爆弾起動を止める……今どきコードが赤か青かの選択!
・起爆装置が故障したため残ったブルース・ウィルスがスイッチを押そうとすると、小惑星が揺れ、手にしたスイッチを落としてしまいなかなか押すことが出来ない。
……などなど他愛のないものばかり。

科学考証の手間を惜しみ、プロットのおかしいところを放ったらかす。
・小惑星上の重力が地球並。
・スペースシャトルが慣性飛行せずにジェットをふかしながらステーションに向かう。
・隕石が墜落しているのは世界の名所ばかりに見える。
・小惑星を二四〇メートルの内部から爆発させることにこだわるなら、何故、ベン・アフレックの探査車が飛び越えたグランドキャニオン級の谷の底へ放り投げないのか。

綺麗にスパッと終わらせない。
物語が終わった後の結婚式のシーンがくどすぎるほど長い。

どうせこのぐらいでも受けるんだろ、と観客に対するベイ監督の悪意を感じる。
実際、こういうレベルの映画なのにベイ監督、大ヒット連発だものな……

【映画】『スペース カウボーイ』

公開まもなくに鑑賞、一五年ぶり(?)ぐらいの再鑑賞。

昨日鑑賞した『アルマゲドン』に比べると、スペースシャトルが慣性飛行して人工衛星の手前、逆噴射で止まるだけでも感心してしまう。
全くもってイーストウッド監督はそつがない。
物語も破綻がなく整合性があり、何よりも泣かせる。

しかし世間的な評価に比べ、僕にとってイーストウッド監督映画は微妙だったりする。
この映画も、シャトルに搭乗までは淡白で、障害の割には葛藤があっさりとしている印象だ。
(あくまで僕の印象)

若者が暴走してその尻拭いをさせられる年配者……という展開に少し苦笑。
僕ら世代から見るとむしろその逆だと思うが、結局どの世代もそういう風に感じているものなのだろう。

【映画】『ダークシティ』

一五年前に鑑賞して以来、滅法好きになってDVDも購入、ことあるごとに何度も観ている思い入れの強い映画。
この映画にしかないキーワードヴィジュアル、アナログかつダークな雰囲気に酔ってしまう。
・一二時を指して止まる巨大な時計。
・額に記憶を注入する注射器。
・植物のように変化/成長する建物。

ラストの美しさと言ったら……この映像には特撮を使っているわけではないが、これを美しく見せるために今までの特撮が積み重ねられた、ということだ。

【映画】『カプリコン・1』

何か憎めない映画。
中学の頃テレビで観て以来、何度も繰り返し観ている。

宇宙飛行士の監禁場所からの脱出、記者の宇宙飛行士の行動を先読みするような行動……などなど緩くて笑ってしまう展開もいくつかあるが、娯楽作と考えると許容範囲内。

O・J・シンプソンが普通に演技していることが少し面白い。
ヘリコプターから追われているシーン、妻を殺した容疑で逃げていたときのカーチェイスもこんな感じでヘリコプターから追われていたのかな、と思う。

そういえば最後にとっておきの話だけれども、
象に浣腸する男がいて……

【映画】『ザ・タウン』

銀行強盗団のリーダーであるベン・アフレック(が演じるダグ)は自分が襲った銀行の女支店長に身分を隠して接近、恋に落ちる。
その間にも繰り返す銀行強盗、ベン・アフレックは自分の生き方に疑問を持ち始める……

ベン・アフレックは、街の(そして親の代から)からみあう因果に無自覚だったのだが、女支店長である彼女と知り合って成長、因果を断ち切らなければならないと努力を始める。
しかし自分自身が因果にどっぷり浸かっていて逃れることができない。

それでも最後はなんとか抜け出すことに成功するのだが……そこから先、僕はあまり納得がいかなかった。
彼が抜け出すための代償でたくさんのひとが傷つき死んだのに(しかも銀行強盗先の女を騙してセックスしているのに)、彼は無傷で新天地にたどりつき、彼女に送金することで自分の罪悪感の一部を浄化……ちょっとムシがよすぎる。

因果の輪がベン・アフレックの部分だけ閉じなくて居心地が悪い。

【映画】『グリーンマイル』

老人ホームの外へ毎日長時間の散歩を繰り返すその老人は、過去、看守をしていたときに奇跡の力を持つ死刑囚と出会っていた……

刑務所を舞台にした本編は興味深くはあるが想定の範囲内、周囲がいうほど感動的でなかった。
人の死の尊厳をないがしろにした者には報いがある、ということだろうか。

むしろ直接的に描かれていないことこそが興味深い。
体中に弾痕が残る死刑囚コーフィはどれだけ長い期間生きて悪意に晒されてきたのだろうか。
死ぬなら一人で死ねばいいのに、コーフィは何故周囲や主人公を巻き込む道を選んだのか。
善意でコーフィの言葉に従って手を握った主人公が何故報いを受けなければならないのか。
ならばネズミは何の報いなのか。

納得のいく答えが出なくて口の中がもやもやしている。
変なハエみたいなやつ吐きそう!

【映画】『スペースキャンプ』

青少年向けの体験学習スペースキャンプに参加した少年少女たち。彼らが搭乗したスペースシャトルは手違いで打ち上げられてしまう……

マスコットキャラクターのロボットが活躍し過ぎため、子供向けの部分が強調されすぎてしまった。
ここがもう少し控えめな演出だったら、リアリティラインを上げることが出来たのに。
整合性ある展開がロボットのせいで崩れて残念。

全体尺の半分近くを使って打ち上げまでを描いている。
しかしそれが冗長でなく、きっちりと登場人物の葛藤を説明し伏線を張っている展開なので好感が持てる。

打ち上げられたスペースシャトルに一人だけ大人が乗っているため、これは子供だけは無理だろ!というところは大人の的確な指示で乗り越える。
途中で大人は負傷して途中退場、最後のおいしいところは子どもたちに託す。
クライマックスはそれぞれの子供達に見せ場があってどの登場人物に感情移入しても納得がいくように仕上げられている。
スパッ!と終わらせているラストもいい。

子供向けだが製作者のこころざしの高さを知ることができ、感動!

【映画】『スペースシャトル2025』

地球上空、スペースシャトル内で何かの心理実験が行われていて、隊員が地球上っぽいどこかに転送され、それぞれ個人個人のトラウマと関係している死を遂げていき、チェスっぽい進行で隊員が消えていくのはその出来事の大枠が主人公と父親のチェスに関わるトラウマに関係しているからで、何とか現実に戻ったのもつかの間、いつの間にかまたスペースシャトル内の時間がループを始め、気づいているのは主人公だけ……って何やねんこれは! 

低予算映画で工夫している部分は理解できるけれども、芸術っぽく逃げることなくエンタメにして欲しかった。

【映画】『フルメタル・ジャケット』

ベトナム人娼婦のワッサワサのワキ毛にビンビン!

恋愛要素のない『愛と青春の旅立ち』。
前半、内面を描写することなく罵倒だけを執拗に映され続けると観ているこちらまで軽い洗脳状態になり、「ちゃんと動け糞豚!」と太っているやつに向かってハートマン軍曹と一緒に罵ってしまう。

それにしてもハートマン軍曹の語彙が豊富すぎる。
本当にあんな風な教え方をしているなら、あれこそ芸であってスキルだ。

訓練キャンプで執拗に自我/人間性を削ぎ落とすことを要求されるのに、戦場では意外と自由奔放に行動して上司のいうことに従わなくても罰せられることのない不思議。

ハートマン軍曹中心のエピソードで終わってもよかったのではないか。
後半とうまくつながっていないように思える。

【映画】『或る夜の出来事』

廉価版『ローマの休日』といった印象。
銀行家の父親のもとでワガママいっぱいに育ったお嬢様が結婚を許してもらえず家出、逃避行に付き合ってくれた新聞記者と恋に堕ちる……
ここまで情動に理性が弄ばれているような女性と付き合ってうまくいくとは思えない。

父親が、娘が駆け落ちしようとした相手の金持ちをいやがるが、新聞記者には肩入れするその動きが製作者の恣意的な誘導過ぎて、僕には納得しづらい。

クライマックス、金持ち夫が結婚式場に降り立つオートジャイロは格好いい。

【映画】『ハワード・ザ・ダック 暗黒魔王の陰謀』

全てが緩い。

主人公がアニメなのにハードボイルドな雰囲気を失わず、リアリティを追求した『ロジャー・ラビット』の志高さに比べ、
こちらはアヒル型宇宙人である設定に無理がある主人公に合わせて物語全体のリアリティラインを下げるという暴挙、とんでもない悲惨な事態を招いてしまっている。

どう見てもぬいぐるみなのに、みんな大げさに驚き、学者は新種の生物だ!と大騒ぎする割には、
バンド活動しているヒロインがライブで「新しいマネージャーにこの曲を捧げます」……アヒル型宇宙人の目立つ格好のほうがマネージャーであることは案外みんな普通に受け入れてるし。
ここがオッケーでここはダメ、っていう基準がバラバラでちっとも笑えない。

「違法侵入エイリアン罪で逮捕する!」で大失笑!

【映画】『ドラキュラZERO』:ユナイテッド・シネマとしまえんで鑑賞

冒頭、主人公の息子が父親について語るモノローグから始まるのに、ラストは息子と関係のないはるか後の時代で終わる。
物語がちゃんと閉じないじゃないか。

妻が今際のきわに「私の血を吸って」って何でそうなるのだ?
我慢しなければならない、って何度も主人公が言っているのに。
そもそもこの時点で子供の存在が希薄になる。

弱点の銀貨の上で転びながら皇帝と戦うドラキュラ。
ってか皇帝も弱点がわかっているんだったら、一人で戦わず、家来と一緒にドラキュラを銀の鈍器で叩きのめせばいいじゃない。

クライマックス、曇り空の下で戦う吸血鬼達。
(曇り空で平気なら結構なんでも大丈夫だ)
最後にお日様が出てきて一斉に死ぬのには笑ってしまった。
場所は野営地なのにテントにも飛び込まず、ガンガン崩れていくってどんだけアホなんだ。

製作者が「ドラキュラ映画ってこんなものだろ」と思って作っている。
既成概念以上のものは生まれなかった。

【映画】『ヘラクレス』:ユナイテッド・シネマとしまえんで鑑賞

自ら伝説を喧伝しながら傭兵稼業を続けるヘラクレスと名乗る男は、妻子の死、ケルベロスの夢に悩まされている……
ギリシアが、神や魔物が跋扈する世界でなく、それ自体が国家(あるいはそれを利用する者)のプロパガンダだったという解釈は新鮮。

クライマックス、伝説(プロパガンダ)によって作られたヘラクレスが、本当の自分の物語を作るためには実際の行動(力)しかないと気づき、途方もないアクションにつながっていく過程は燃える。

現在のアメリカ国民は政府や世界に対してこう思っているという理解でいいのかな?
ベトナム戦争やイラク戦争そして現在のテロとの戦いを正義の戦いだと思っていたのに、政府と付随する企業や団体に利用されていただけだった!
……という当事者意識の欠如。

ただのギリシア神話を元にした話でないプラスアルファの部分があったので満足。