日別アーカイブ: 2014年8月2日

【本】『SFマガジン700【海外篇】』山岸真・編

七〇〇号を数えたSFマガジンで今まで掲載されたものの中から、単行本未収録作品中心に編まれた短篇集。
発表期間が最初と最後では六〇年以上開いているので、一冊の本として通して読むには頭の切り替えが大変で、手こずる。四時間かけて読了。

メモ:
「遭難者」 アーサー・C・クラーク
3点。
プロットむき出しで投げ出されたのような。六〇年代より前のSFはこういう科学的なセンス・オブ・ワンダーむき出しのものが多かったような印象。

「危険の報酬」 ロバート・シェクリイ
6点。
達者なエンターティンメント。当時なら申し分ないが、現代ならオチにあと一工夫必要。発狂したというラストはもはや、夢オチのように定型化している。

「夜明けとともに霧は沈み」 ジョージ・R・R・マーティン
3点。
センス・オブ・ワンダーと物語が結びついていない。これは地球上でも何なら日本の山奥でも成り立つような話。

「ホール・マン」 ラリイ・ニーヴン
7点。
キャラクター、ストーリー、センス・オブ・ワンダー全てが上手く絡み合っている。

「江戸の花」 ブルース・スターリング
7点。
前情報がなければ、日本人が書いた時代小説風ホラーと思ってもおかしくない。よく調べられているしエンターテイメントとしても面白い。魔物が『ファウスト』における悪魔の取引のように文明の象徴。西洋という文明の出会い。サイバーパンクが新しいテクノロジーの出会いを描いているとするならば、一見無関係に見えるこの物語もそういう意味ではサイバーパンク的だとか。

「いっしょに生きよう」 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
9点。
今まで読んだティプトリーの中で最もわかりやすかった。希望のある展開がうれしい。しかしぎゃくにティプトリーにしては無邪気すぎることの謎は残る。取り込まれることの恐怖をあえて書かないことの意味は?

「耳を澄まして」 イアン・マクドナルド
4点。
次の世代の可能性? よくわからなかった。

「対称(シンメトリー)」 グレッグ・イーガン
3点。
空間の上下、時間の上下がない世界。よくわからなかった。

「孤独」 アーシュラ・K・ル・グィン
7点。
大長編を読むのに匹敵するほどのボリューム。男女間の問題にここまで固執する部分がよくわからない。が、時代が時代なら誰もが考えていたのだろうか。

「ポータルズ・ノンストップ」 コニー・ウィリス
7点。
筒井康隆っぽい。こういうSFっぽくないワンアイデアものは何も考えず読むことができるのでよい。途中まで実在のSF作家を架空の作家と誤読していた。

「小さき供物」 パオロ・バチガルピ

7点。
物語的な云々そのものより、発想とイメージが全てを上回るぐらいにインパクトがある。

「息吹」 テッド・チャン
10点。
興味深い。センス・オブ・ワンダーと物語が切り離すことができないぐらい結びついている。宇宙の熱的死のメタファー。ルネサンス期の人体解剖、天文学的な発見……人間社会の風刺、隠喩もあって、SFの優等生のような物語。そして希望もある。

【本】『成田亨作品集』成田亨

僕が絵を描いたのはオバケや妖怪や怪獣の模写からだった。

小学一年のある日、模写だけで飽きたらず
「そうだ! 自分で怪獣をデザインしたらいいんだ!」
オリジナルの怪獣を描き始め、友達と怪獣ごっこしながら自分怪獣図鑑を作り、漫画(ノゾトラマン)を描いた。
これが僕の絵と漫画のルーツ。

ガラモン、ケムール人、ブルトン、ジャミラ、バルタン星人、ゼットン、ビラ星人、メトロン星人、チブル星人、エレキング……当時好きだった怪獣のほとんどが成田亨氏のデザインだったことを、後に知る。

ウルトラシリーズ以前の怪獣はゴジラなど恐竜や動物をベースにしたものが多かったが、高度なコラージュ、そして無生物的な要素の挿入、抽象化……成田亨氏は現代美術的な概念を取り入れ、怪獣の概念を大きく塗り替えていった。
ドドンゴやペスターなど、一人の人間が入って怪獣を演じるというぬいぐるみの概念の逸脱。
ガボラやケムラー、ザラガスなど形にギミックがあり段階を経て怪獣が変身する遊び心。
何よりも新しいヒーローのアイコン、ウルトラマンの創造……観る人の感情の動きを投影させる、シンプルがゆえに複雑な感情表現を可能にした菩薩像のようなマスク。

怪獣の、独特な三白眼も懐かしい。
これもよくよく考えてみれば成田亨氏オリジナルのアイコンだ。

夜行バスで半日かけて富山県立近代美術館に到着後、二時間かけて何度も成田亨展を鑑賞したあと、五〇〇〇円でこの本を購入……ことあるごとにこの本は読み返すだろう。

【本】『円谷ヒーロー ウルトラ怪獣全史』 講談社・編

円谷プロ製作の怪獣のデザイン、造形について焦点を絞った書籍。

八〇年代に出版された書籍を再編したもの? 
収録された写真のどれもこれも、いつかどこかで見た覚えがあるのだけど。
……しかし確信もなく、懐かしさに浸りながら読んでいる。
既視感といったらない。

雑誌風のレイアウト、写真チョイスのセンスが光る。
制作者サイドのコメントが大量に入っていて、怪獣好きには堪えられない。

ギロン人のぬいぐるみを改造してアングラモンが作られ(確かに頭部の原型がそのまま!)、
メフィラス星人二代目は時間がなかったのでアトラクション用の着ぐるみ(だから造形がもっさりしている!)、
『タロウ』で登場した巨大ヤプールが劣化した印象なわけは、『A』登場時と同じ着ぐるみだがアトラクションで使用され傷んでいたため、
バキシムは牙虫のアナグラム。

なるほど、興味深い!

【日記】14年08月02日 体重測定できず

五時頃、バスのアナウンスで浅い眠りから引き戻される。
重いだるさ全身が覆われ、節々が痛い。
これからバスにのるときは「必ず三列でゆったりしているものを!」と心に誓う。
バスは五時半、富山駅北口に到着。
今日は美術館へ行くつもりだが、開館時間まで時間をつぶすために富山ライトレール富山港線で終点の岩瀬浜駅へ。
港、海岸線をしばらく散歩。
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富山ライトレール富山港線で富山駅に戻ると九時前。
観光協会の自転車の無料貸し出しサービスで自転車をレンタル。
一五分ほど自転車を漕いで富山県立近代美術館へ。
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「成田亨展」を鑑賞。
http://ja.wikipedia.org/wiki/成田亨
懐かしさと、自分の好きなものの原点を発見した思い。
五〇〇〇円(!)の画集を購入。

富山市を少し散策しかけて、暑さと日差しの強さに断念。
駅前のラーメン屋で食後すぐに一二時一九分発の電車に乗る。
乗り継ぎのタイミングが最悪。
何もない駅で数十分待たされたりとスムーズに行けば五時間台で着くはずが七時間以上かけて、一九時半頃に高槻到着、帰宅。
食事して、身の回りの整理をしてベッドに入る。
今朝熟睡できなかったのですぐに眠くなる。
二一時半就寝。


こんなものを食べた!・・・14年08月02日
朝食、富山駅構内「おむすび屋 源」にて購入したおむすび。
昼食、富山駅前のラーメン屋「支那銀」にてラーメン。
夕食、漬物、サラダ、骨付き鳥ももとアスパラとジャガイモとニンジン。

こんな本を読んだ!・・・14年08月02日
【本】『SFマガジン700【海外篇】』早川書房・編
【本】『円谷ヒーロー ウルトラ怪獣全史』 講談社・編
【本】『成田亨作品集』成田亨