どもりの英国王が話し方先生にしゃべり方を教わる、実話をもとにした映画。
以前、「『英国王のスピーチ』の真実(性格なタイトルは失念)」というドキュメンタリーを観ていると、そのモデルになった先生に話し方を習った生徒がインタビューで当時を語っていたのだが、全員とんでもないどもりで何を言っているのかさっぱりわからなく
「治ってへんやん!」
と思ったものだった。
映画の中の英国王も、ある程度治ったとはいえスピーチ自体はどもり寸前、スリリングでとても危ういものだった。
(スピーチが見せ場ってのもすごい話だ。『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』でいえば、ダース・ベイダーとルークがライトセーバーで戦うようなシーンだよ)
しかし同時に今回この映画を観て考えを改めた。
「きっと、ドキュメンタリーにでていた人たちはその先生に会うまでもっと凄まじい超弩級のどもりで、それでもまだマシになったほう」
だったのだと。
「こんな映画を観た!」カテゴリーアーカイブ
【映画】『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』
現在上映中『X-MEN: フューチャー&パスト』の予習で鑑賞。映画『X-MEN』シリーズそれまでの前日譚、プロフェッサーXとマグニートーの出会いから生き方の違いより決別する過程を描いている。
池袋の某映画館で観たとき、どういうトラブルかわからないけれども全編映像が二重にぶれていて(しかし3D上映でない)、腹立たしくて仕方なかった。
それを差し引いてもドキドキハラハラした印象だったから相当面白かったに違いない、と思い出補正がどうなっているのか確認してみたが、意外と派手なシーンばかりでなくメリハリを効かせてお金を節約している印象だった。
前回観たときは、プロフェッサーXがマグニートーの「一番美しい思い出」を蘇らせるシーンで思わず泣いてしまったのだが、それは控えめなのに効果的な演出でやっぱり今回も涙がボロボロ。
派手なシーンもあるが、そういう地味によく出来た演出を積み重ているから、全体的にメリハリがあっていい印象なのだろうな。
【映画】『シュガーマン 奇跡に愛された男』
七〇年代初頭にアメリカでデビューしたが泣かず飛ばずで消えた歌手「シュガーマン」の曲が、何故か南アフリカで反アパルトヘイトのシンボルとして爆発的にヒットしていた……というドキュメンタリー映画。
まあ僕のことだったら知らないところで自分の漫画がヒットしていたらかなり複雑な気持ちになるだろうけど(経済的にもチヤホヤ度的にも)、そもそもアフリカでヒットしたこと自体が人生のおまけ(「シュガーマン」本人も人生を二度生きたようだと語っている)のようなものだから……いや、やっぱり僕のことだったらむかついてるかな。
いや、
「誰だ海賊版の金をパクった奴は! 伝説の俺をもっとチヤホヤしろ!」
ってわめくような人じゃないからああいう歌詞を書くことができて、ああいうところで聴いたからこそあの歌を心の糧にする人が生まれたってことで、やっぱりそれ自体が必然か。
僕も謙虚にならなければ……そしてそういう漫画を描いて地球の何処かでヒットしているかもしれないという幻想を胸にこれからを生きていこう。
【映画】『言の葉の庭』
雨の日、授業をサボって公園へ行く少年が女性と出会う話。
私小説的(?)な身の回りのことと、SF的なセンス・オブ・ワンダーが、『ほしのこえ』ではぴったり符合していたけれども、それ以降の作品はその二つがちぐはぐに分離していったように思える。『ほしのこえ』では思わず涙を流してしまった自分だが、それ以降の新海誠作品はあまり感心しない。
特にSF的なものの奥行きの浅さには「背景と同じくらい興味を持ってくれよ!」と叫びたくなるほど。
かと言って今作のような私小説的なものにも深みがあるかというとそうでもなく、背景(情感)への異常なまでの執着一点がこの人の欠点全てを目眩まさせている、と僕の中での結論。
本当にビックリするぐらい背景は繊細に描かれていて今まで僕が思っていたアニメのリアルさの分水嶺をひとつ越えたな、とは思ったが、逆に言えばこの映画から「そういう作画ができます」というプロモーション以上の価値を見出だせかった。
あと、そこまで繊細な割に色使いそのものはラッセンとかヒロ・ヤマガタを彷彿とさせるようなわかりやすさで、スタイリッシュさや侘び寂びからは秒速五メートルで遠ざかっているような印象。
【映画】 『X-MEN:フューチャー&パスト』:ユナイテッド・シネマとしまえんで鑑賞
【映画】『マラヴィータ』
【映画】『R100』
前半は映画として成り立っている。
特に仕事場に現れた男が主人公をベッドの隙間に引きずり込むシーン、SM嬢が職場のトイレに現れるくだりまでは普通に面白い。
それが独創的なものかどうかはともかくとして、そのまま「普通」に面白いものは出来たのでは?
この展開がストレートに進んでいったらどうなるのか観たかったが、そんな「普通」のものを松本人志氏が作ることはないのだろう。
一見すると主人公がプレイによって「徐々に」現実から異世界に引きずりこまれていったように見えるがそうではない。
冒頭シーンで通行人が主人公とSM嬢のプレイを無視して空気のように扱っているということは、もっと最初、秘密クラブに主人公が訪れた時点から主人公はそういう異世界に取り込まれている。
強い物語性がない。
植物人間状態の妻、義父、息子、勤め先……人間関係にそれぞれ一見「ぽい」エピソードが挿入されているが、それが何かを象徴的に浮かび上がらせることはなく単なる設定。
SMというよりただの暴力行為。
痛み以上の複雑な感情がそこにはない。
そもそもSとMは区別できるぐらい単純なものなのか?
一〇〇歳を超えなければ理解できない内容とは思えない。
R100というRはどういう意味?
想像もできないぐらいエロくもなく暴力的でもなく半社会的でもない。
松本氏が幾度となく「自由にやれない」と嘆いているテレビ業界と同じ、ノリだけで作っている。
ここで描かれていることは三〇年以上前、筒井康隆氏がやったことばかり(の劣化版)。
この映画から新鮮さを何も感じ取れなかった。
ベートーヴェンをもっと効果的に使えなかったのか?
【映画】『ブロークンシティ』
【映画】『くもりときどきミートボール2』
【映画】『新幹線大爆破』
上映一一分目でようやくタイトル。スタッフの面白いものを作ろうという意気込みが感じられて格好いい。
新幹線だから終点までにどう解決するかという部分がキモになるのだけれど、山手線なら爆弾が見つかるまで無限に回り続けるという展開になるのだろうか。
エネルギーは電線で無限に供給されるし、故障したら並走した電車からパーツを交換すればいいし、そのうち電車の中で新しい世代の子供が生まれていく。
そして不慮の事故がもとで地球が氷河期になり、人類の文明が終焉をむかえても、生き残った人たちだけが山手線に乗って回り続ける……という近未来SF映画はいかがだろうか。
日本で作ることが困難ならハリウッドで、それでも無理なら韓国・アメリカ・フランスで合作し韓国人監督に作ってもらうのもいいかもしれない。
【映画】『プリシラ』
オーストラリアの都会に住む三人のドラァグ・クイーンがオンボロバスで砂漠中にある街のショーへ向かうロードムービー。
誰かと一緒に旅に出るということ自体が楽しいことは理解できるけれども、バスの中や屋根の上で踊ったり歌ったり過剰にふざけるさまは、あまりに(内向的な)自分と違い過ぎ何が楽しいのかちっとも感情移入できない。
ところが主人公の●●が出てきてから俄然楽しくなった。
もっと早い段階で出してくれたらそういう視点で全体を通して見ることができたかもしれないのに、そうすると感情移入する部分もぐっと増えたのに……感情移入できる対象の重要さを思う。
それはともかくオーストラリアの自然が美しい。
僕の将来の夢は「車で日本一周すること」なのだが、その夢の第一歩のためとりあえず運転できるようになるところから始めようと思った。
【映画】『ワンダとダイヤと優しい奴ら』
【映画】『勝手にしやがれ』
白黒の映像は観ている側と画面の中で起こっている出来事との距離を遠く感じさせる。
自分の身近にないことだと思って感情移入することが難しくなる。
ものすごく短いジャンプカットの多様、細かく震えるように見える。
痙攣している役者が多いと最初は本気で思ってしまう。
主人公は刹那的に犯罪を重ね、警官を殺し、逃亡して女の家を転々と泊まり歩いている。
禅問答みたいな会話。
「何故見つめているんだ?」
「見つめているからよ」
こんな禅問答みたいな会話しながら刹那的な犯罪を繰り返すから、アホなのかかしこなのか、そのギャップが理解し難い。
それなのにクライマックス、女が男を裏切り警察へ密告するあたりはその意味不明さが逆にリアルで不思議。
そもそも男女間で起きる出来事が不合理で理解し難いものだから?
【映画】『プラトーン』
【映画】『マッドマックス2』
【映画】『π(パイ)』
【映画】『ベオウルフ/呪われし勇者』
【映画】『シティ・オブ・ゴッド』
【映画】『私の中のあなた』
【映画】『リンガー! 替え玉★選手権』
借金地獄に陥った主人公が知的障がい者たちによるスポーツの祭典「スペシャルオリンピックス」に障害者のふりをして参加、優勝してひと儲けをたくらもうとするが……
本物の障害者が障害者役を演じていて、主人公は障害者を演じている演技をする、その構造が複雑すぎて混乱しそうになる。
クライマックス、この最低な主人公が主人公としての矜持を守る瞬間、こうならざるを得ないとわかっているとは言え、ほろ苦い。これはこういうパターンではなく守らなければならない物語の黄金率だ。
この映画で(主人公である)ジョニー・ノックスヴィルを初めて認識。ジャック・ニコルソンを若くしたのかと思った!
映画の中で直接言及されることがなかったのでタイトル中の「リンガー」の意味がわからず、いろいろ調べた挙句ようやく原題が『THE RINGER』でringerが「不正競技参加者、替え玉」の意味だということを知る。邦題がわかりにく過ぎる。そもそも主人公は不正競技参加者で、替え玉じゃない。
【映画】『アンストッパブル』
人が乗っていない『新幹線大爆破』みたいなイメージ。それにしても実話をもとにしているとはいえ、暴走する貨物列車を止めようとする話……って到底面白くなりそうでない。
しかしトニー・スコット監督の手堅い演出でそんな事件すら手に汗を握るアクション映画になるから不思議。貨物列車を止めようとする運転手と車掌のコンビの友情が芽生えていく過程もアツい。
井上陽水氏なら電化製品の取扱説明書すら泣かせる曲に仕上げあの透明感ある美声で泣かせてくれそうなイメージがあるけど、トニー・スコット監督もどんな出来事であっても一流のエンターテイメントに仕上げてくれそうだ。
そんなトニー・スコット監督の遺作がこの映画。もっと長生きしていただいて今作のように実話から映画を……セウォル号事件を『ポセイドン・アドベンチャー』あるいは『タイタニック』みたいな大スペクタル映画に仕上げて欲しかった。
【映画】『サブウェイ・パニック』
昨日は貨物列車、今日は地下鉄……何故か電車つながりパニック映画二連発目。
地下鉄が暴走して止まらなくなる。乗客を載せた地下鉄が暗闇を疾走するその絵は(昨日の)無人の貨物列車に比べるとはるかに怖い。
ハリウッド映画の役者(特に子役)は邦画に比べて達者だ、と今まで思っていたのだが、この映画に出演している日本人の演技を見て考え方が変わった。見慣れているものだから演技の上手い下手がわかるというだけ、外国人の演技は見慣れていないから多少変であってもそういうものだと受け入れてしまう……不気味の谷現象http://ja.wikipedia.org/wiki/不気味の谷現象のようなものみたいだ。
ラストの顔芸は必見!