こんな本を読んだ!」カテゴリーアーカイブ

本を読むことはあまり得意じゃないのですが、頑張って読んでいます。
 
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【本】★『象られた力』飛浩隆

八〇年〜九〇年代の短編。
一部は学生時代にSFマガジンでリアルタイム既読。

ネットワーク、バーチャルリアリティー、遺伝子など現在ならもっと直接的に描かれることも多い概念だが、筆者流に咀嚼されるとずば抜けたオリジナルな表現と物語が生まれる。
どこか懐かしいのに新鮮な感動。

読了時間:3時間45分

メモ:
「デュオ」叙述トリック。双子と思われたが実は三つ子。共有していた意識がソフトのように寄生主をのりかえ主人公に。殺した後も生きているかもしれない。→

「呪界のほとり」
「夜と泥の」遺伝子的の中に潜り込ませて父が娘を復活させる。星の中で
「象られた力」 体中に立体的な刺青

【本】『新・ローマ帝国衰亡史』南川高志

「ローマ人」とは民族や国籍でなく曖昧なアイデンティティだった。
外部から人材を得て国力を増強した歴史があっるにも関わらず、高まる外圧のもとに内なる他者の排除が始まる。
ゲルマン人という名前の民族があったわけではない。
ローマ人の蛮族に対するレッテル貼りだ。かくして尊敬されない国になり「ローマ人」国家の本質が失われる。

最盛期のローマ帝国が崩壊するまでたった三〇年。
外敵によって倒されたのでなくローマは自滅したのだ。

【本】★『歴史は「べき乗則」で動く―種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学』マーク・ブキャナン

火の鳥『未来編』で火の鳥が極小、極大の世界を主人公に見せる。極小の世界には我々とは概念が違うがまぎれもない生物が息づき、極大の世界では宇宙全体がひとつの銀河のように渦巻き、大小が変わるいくつかの段階で世界が繰り返されている。
このようにカオスと規則性が自己相似パターンを描くことをフラクタルという。

地震(物理現象)、山火事、大量絶滅、生態系などの自然現象だけでなく金融市場、科学、歴史などの社会現象までも同じパターン、フラクタルを見出すことができる。
そのフラクタルを砂山に例えてみると、砂粒を少しずつ落としていくと砂山が生まれ、潜在的な力を貯めこみ臨界状態に入りながら成長していく。
いつか土砂崩れが起こるいうことはわかるがいつ起こるかわからない状態になる。
(土砂崩れは大きいほど稀になる)

これらのフラクタルで共通する物理法則を「べき(冪)乗則」と呼ぶ。
一四五九年から一九七五年までのヨーロッパの戦争を調べると死者数が二倍になるたびに戦争の頻度は約二・六二分の一に、いっぽう同じように森林発火と山火事の頻度を調べてみると二・五から二・八。
その数値は驚くほど近い。